11月16日、今年度最後の教養講座は、茶道史家の神津朝夫先生によるご講演でした。
現在は「茶会」と「茶事」とを区別していますが、本来「茶会」とは茶事のことであったそうです。
「初座で料理を食べ、中立があり、後座で濃茶を飲む」
この原形をもとに、時代の流れの中で様々な趣向や約束事が生まれてきて、現代の形式に変遷してきた経緯を解説くださいました。
またスライドでも、その変遷が見て取れる写真や屛風絵などの貴重な映像を見せていただきました。
最後に先生から、「今の茶事作法を前提に、約束通りの露地と茶室が無いので茶事はできない、と考えないでほしい。マンションの通路を通って茶室へ、中立はベランダのベンチ、つくばいは桶か鉢、というのは、むしろ利休が若い頃の正式な茶事の方法にきわめて近い。」
というお言葉をいただき、「茶事」が身近なものに感じられました。