2018年6月21日木曜日

第497回 谷端昭夫先生「信長と名物狩り」

今月は、裏千家学園講師の谷端先生にご来座いただき、いつもとは違った切り口でのお話を聴講しました。


まず、名物狩りとは、なんぞや。私の疑問からスタートです。調べてみると…
織田信長は1569年に京都と堺で金銀や米の代わりに名物(めいぶつ:有名な茶器や絵)を強制的に収集しています。とあります。
今回の谷端先生のお話は、前半部分は信長が収集していた数々の素晴らしい茶道具の紹介から始まりました。

それらは大変有名なお道具で見た目も作品としては素晴らしいものもありますが、中にはそれほど、美しいものでもないというコメント。なるほど。

それから当時お道具が今で言う仮想通貨のように投機商材のように、何万倍にも価値が跳ね上がるようになったと言うお話。

そのきっかけを作ったのも信長の名物狩り。

後半は、信長がこの名物狩りを単なる自分自身の収集だけを目的にしたのではなく、政治的手法、つまり日本を戦のない平和な国に治めるための手段として使っていたと言うお話をしていただきました。
信長は、戦国大名が手柄を立てた時、国や領土を与えるだけでなく、「価値のある名物」を与えることで信頼の深さを伝える方向性に価値観を変えました。

国や領土という下手に与えると力をつける武将が出てくることを恐れ、その代わりに名物を与えることで忠誠心をコントロールしていたのだそうです。
お茶が趣味嗜好のお客様をおもてなすためのものである現代とは違い、当時はお茶が国を治める、平和の手段として大いに重要なもの、機会だったことを改めて学ぶ機会となりました。

谷端先生、素晴らしいご講演ありがとうございました。



長谷川幸則