2019年12月16日月曜日

第511回 福嶋昭治先生「源氏物語を読む意味」

2019年度最後の教養講座へは二年ぶりのご講演となる福嶋昭治先生にお越しいただきました。 
演題に入る前にまず、文学とは何か?なぜ人は文章に心惹かれるのか?について与謝野晶子の『明星』から『恋文』、藤原道綱母の『蜻蛉日記』や山本周五郎の作品や新聞のコラムなどにも共通する、読み手が人の情、何者でもないたった一人の心を語るところから感動が生まれるではないか、歴史の公事とは違う、文学の視点をお教えいただきました。
その上で演題に入っていくという面白いアプローチで進めていただき、文学が苦手であっても古典作品が難しいものでい存在であることをお教えいただけました。      





2019年10月25日金曜日

第510回 今日庵業躰 冨士田宗啓先生「利休好みと利休形」



10月17日は教養講座へ今日庵業躰の冨士田宗啓先生へお越しいただきました。
茶道では基本となる利休好みと利休形について貴重な展示資料と映像資料をお見せいただきながら、利休形とは利休の作になるもの、利休が所持し愛用したもの、利休の好み形からなるもの代表的な花入、茶入などのお道具を映像を見ながら逸話を交えてご解説いただきました。
利休形の水屋道具を展示いただき丁寧なご解説に初めて見るお客様も多く、楽しく拝見されていました。




2019年9月22日日曜日

第509回 特別展覧「菅細工作成体験」

831日は特別展覧を開催いたしました。
 
約2000年前、深江地区に自生する菅を使って笠などをつくったのが始まりという伝統工芸「菅細工」には主な製品には茶道にはなくてはならない釜敷きや円座などがあり、深江菅細工保存会の皆様のご協力により菅を使いコースター作成体験をさせていただきました。
 
菅は乾燥に弱いなどの性質についてご説明頂きながら、参加者それぞれ違う進み具合に対しても丁寧にご指導いただきました。

 作成体験後には深江郷土資料館へ移動し人間国宝角谷一圭の数々の作品や実際に使用された菅笠や深江に残る様々な資料も拝見させていただき、歴史や文化や展示されているお道具についてもガイドをいただけました。




 

2019年8月16日金曜日

第508回 冷泉為人先生「冷泉家の歴史と文化 年中行事をめぐって」

7月17日は教養講座へ冷泉為人先生にお越しいただきました。

800年続く冷泉家の歴史について貴重な家系図や古地図などの資料をお見せいただきながら歌道の基本を作った俊成、定家以来の跡を継ぎ、今もなお現在に至るまで残ったかをお話しいただきました。                              

歌道も茶道も道とつく基本となる型を持っているからこそ、皆で楽しむことができる日本文化として残り、型があるからこそ美しく感じるものが芸術であるとご解説いただきました。                                  
年中行事については旧暦と今の暦と比較しながら和歌を例題に上げて違いをご解説いただきました。 




        

2019年6月21日金曜日

第507回 井上八千代先生「所作について」

6月12日は教養講座では初めてのご講演となります、人間国宝でいらっしゃいます井上八千先生にお越しいただきました。
 井上流の歴史、京舞の受け継がれて来た伝統について詳しくご説明いただきました。 
上方舞、能、人形浄瑠璃の人形振りなどの影響を受けて創設されて以来、激動の時代を乗り越えながら厳しい稽古を重ね伝統を守り続け、代々女性によって受け継がれてきました。
舞台上では舞の一部である歩き方、手の動かし方、袖の扱い、お辞儀の仕方などをお見せいただき、茶道にも通じる美しい所作についてもお話しいただけました。
 凛とした佇まいは存在感があり、所作の美しさにお客様の目も奪われていました。  


2019年6月18日火曜日

第506回:庭師 植熊 小河正行先生「露地のしつらえ」


5月15日は教養講座では初めてのご講演となります小河正行先生にお越しいただきました。
露地とは心の塵を払い去る動線で茶室と一体化し茶の湯空間を形成する重要なもの。
資料をお見せいただきながら、露地の目的や構成、蹲や飛び石などの見どころ、基本的に守らなくてはならない事を月毎に丁寧にご解説いただきました。
庭師として先代達が残してくれた庭をただ守り譲るのではなく、後世に残していくためには何年経っても学び続け、人として何が大切なのかを考えらることも大切なことだと併せてお話しいただきました。 






2019年5月1日水曜日

第505回  中村利則先生 「利休の茶室について」

4月17日は教養講座では初めてびご講演となります中村利則先生にお越しいただきました。
山上宗二記を元に茶室の平面図の資料とスライドをお見せ頂き、茶室の歴史とともに利休の詫茶室の展開についてお話し頂きました。
ハレ(非日常)とケ(日常)を明確に区別しており、お客様をもてなすハレの空間の茶室が誕生し定められた中で方角、広さ、炉の切り方など工夫が重ねられた数々の茶室が作られたそうです。
利休の登場により、南向きの茶室、平三畳の茶室で唐物を使うなど今までとは違う茶室が登場し、茶室作りに新たな意識変化を起こした事を平面図、復元図などを見せて頂きならご解説下さいました。




2019年4月15日月曜日

第504回 角谷與斎先生「茶の湯釜について


327日は教養講座では初めてのご講演となります釜師の角谷與斎先生にお越しいただきました。
普段使用されているお道具や作品になる前の材料を展示頂いたり、スライドにて分かりやすくご説明くださいました。
中国から伝来した鍋と釜の違い、日本で独自に進化した釜の歴史、釜の作り方から修復方法、大切に長く使い未来へ繋ぐことの大切さまでご教示いただきました。




2019年3月5日火曜日

第503回 谷端昭夫先生「女性のための茶書『刀自袂』」

214日、本年度最初の教養講座は、裏千家学園講師の谷端昭夫先生にお越しいただきました。
 「刀自袂」とは江戸時代に大口樵翁が残した女性のための茶書。
上下巻で構成されている内容をご用意いただいた資料とともにご紹介くださいました。
 現代の教本の様に作法や道具について詳しく解説され、女性ならではの所作や考え方も含まれており、いつの時代にも通じる指南書であるとご教示くださいました。