2018年2月27日火曜日

今年度がスタートしました

2018年度も皆様のおかげをもちまして、53年目の教養講座をスタートすることになりました。
お家元始めご宗家の皆様、総本部、大阪四支部の先生方、そして熱心にご受講いただく会員の皆様に改めて御礼申し上げます。

今年度第一回目の講義は、哲学者、宗教学者でもいらっしゃる国際伝統藝術研究会会長の倉澤行洋先生にお越しいただきました。

控え室で名刺をお渡ししてご挨拶した時にお顔を拝見すると、なんとも柔らかな優しい笑顔で声をかけていただきました。
「長谷川さんは、幸則さん、私も行洋です。同じ  ゆきですね。」
御歳84歳をお迎えになるとは思えないほど凛とした佇まいで、とてもお元気な先生だなという印象を持ちました。

お題は「守る 破る 離れる 再考」
三年前の「守破離」のテーマのご講義をさらに深めて、新たな様々なご考察を紹介いただきました。

茶道などの芸道における守る・破る・離れるという三段階の修行過程の精神論、それはスポーツの修練とも通じるように思え、今まさに平昌オリンピックでの感動の裏にある秘話などと被るようにも感じました。

興味深かったのは、西洋にもこの「守破離」と似通った思想があるということで、その共通点と違いについてもニーチェの思想を例にわかりやすくご説明いただきました。
西洋と東洋両方の哲学、思想に造詣が深い先生の切り口は、まさに今のグローバル化社会への問題定義にも聞こえる意義深いお話でした。

あらゆる芸事や生き方にも通じる大変深いお話で、倉澤先生の世界観に会場全体が引き込まれる不思議なひと時でした。

御同行された秘書の朴さんとご一緒に見えなくなるまで手を振っていただくお姿から、先生のお人柄に触れることができる素晴らしい第493回目の講座となりました。


大阪四青年部連合会
会長 長谷川幸則

第493回 倉澤行洋先生「守る 破る 離れる 再考」 

2月23日は、国際伝統藝術研究会会長の倉澤行洋先生のご講義でした。

・「守」とは、「無我の心」をもって師の教えを忠実に守ること。
・「破」とは、修行を積んで得た「無我の我の心」が「守」を破ること。
・「離」とは、守る心からも破る心からもすっかり離れた「遊戯三昧」の境地。

この「守破離」と同じ解釈ができる思想について、西洋のニーチェ、川上不白、珠光を例に取って解説くださいました。

「守」・「破」を経て「離」の心でもてなす茶会とは、「夏は涼しく、冬はあたたかに・・・」の境地に至るのだという先生の最後のお言葉に感銘を受けました。