2017年11月23日木曜日

11月教養講座を終えて by長谷川


今年の最終講義となりました11月は、日本文化や茶道の歴史を様々な視点から研究されておられる神津先生にお越しいただきました。

会場はいつものように多くの受講者にお集まりいただきました。
茶事の歴史ということで、皆さんどの部分を掘り下げてお話をされるのか、大変興味深く拝聴されていました。
神津先生のご講義は私のような初心者にも大変聞きやすく、あっという間の90分間を楽しむことができました。

私の認識では、千利休以降に戦国大名を中心に茶の湯の文化が発展し今日のお作法につながっていることは理解していましたが、それ以前の茶文化がどのように発展し、誰によって楽しまれたのかを知るきっかけはこれまでありませんでした。

それゆえ、どちらかというと茶の湯には堅苦しいイメージを持っていましたが、本能寺の変の頃までは町人たちの中で広まっていた文化であり、大切な客人にひと時の安らぎを感じてもらうという、とっても大切なコミュニケーション手法であったことを今回の先生のお話から知ることができました。
つまりは、そのころの茶の湯の楽しみ方は実にシンプルで、現代の私たちが茶の湯を楽しむ本質を導き出してくれるヒントがたくさんあることを学びました。

日本文化全般に大変造詣が深い神津先生に、また違った角度から日本の素晴らしさやお茶の素晴らしさをご紹介いただく機会がこの教養講座で増えることを願ってやみません。
神津先生の今後ますますのご活躍をご祈念申し上げます。



大阪四青年部連合会

会長 長谷川幸則

第492回 神津朝夫先生「茶会(茶事)の歴史」 

11月16日、今年度最後の教養講座は、茶道史家の神津朝夫先生によるご講演でした。

現在は「茶会」と「茶事」とを区別していますが、本来「茶会」とは茶事のことであったそうです。
「初座で料理を食べ、中立があり、後座で濃茶を飲む」
この原形をもとに、時代の流れの中で様々な趣向や約束事が生まれてきて、現代の形式に変遷してきた経緯を解説くださいました。
またスライドでも、その変遷が見て取れる写真や屛風絵などの貴重な映像を見せていただきました。

最後に先生から、「今の茶事作法を前提に、約束通りの露地と茶室が無いので茶事はできない、と考えないでほしい。マンションの通路を通って茶室へ、中立はベランダのベンチ、つくばいは桶か鉢、というのは、むしろ利休が若い頃の正式な茶事の方法にきわめて近い。」
というお言葉をいただき、「茶事」が身近なものに感じられました。